にじ301号

       今年度も歩行訓練行います

 希望にあわせ1対1で行う歩行訓練、および、初めての方やもう一度確認したい方を対象に行う講習会を、日本盲導犬協会スマイルワン仙台のご協力をいただいて、今年度も実施いたします。
 1対1で、目的を持って歩行訓練を受けたい方は、1目的(自宅周辺、バス停までなど)について3回まで訓練を受けることができます。ご希望の方はにじの会までお申し込みください。(無料)
 また、講習会を2回開催します。今年度は6月にサポートセンターにじで、もう1回は、ミニ交流会と併せて、秋に会津若松市で行う予定です。

      建物内・自宅での安全を確保するために
 外の移動はガイドヘルパーさんと一緒に安全にできるのに、自宅で柱などにぶつかった、いつも行っている場所なのに建物内の方向が分からなくなる・・・そんな経験はありませんか?
 建物内の方向を確認するちょっとしたコツ、自宅での安全を確保するための工夫などを学びます。
 日時 6月2日(金)午前10時~12時
 場所 サポートセンターにじ
 講師 歩行訓練士(スマイルワン仙台)
 定員は5~6名程度、無料です。申し込みは、にじの会事務局へどうぞ。

     ウォーキングボランティア講習会 & 5月のウォーキング

 5月は、毎週水曜日(全4回)にウォーキングボランティア講習会を行います。毎月のウォーキングを一緒に楽しむ方を募集しています。広く募集していますが、皆さんのお近くの方で関心のある方がいらしたらぜひお誘いください。
 《講習会》
 日時:5月10日(水)から毎週水曜日 4回 13時~15時30分
 会場:サポートセンターにじ(第1回・第4回)、第3回はウォーキング、第2回は他施設でエスカレーター・エレベーターなどのガイドの講習をします。
 定員は、20名。受講料は無料です。
 
 講習会の第3回目は、一緒にウォーキングを楽しみます。ガイド技術実習のボランティアをしてくださる方のご参加をお願いします。
 日時:5月24日(水)
 集合・解散
  現地 あづま総合運動公園体育館駐車場
      13:30集合  15:00解散
  サポートセンター
      13:00集合  15:30解散

       「にじ」と私
      福島市 佐藤和子
 このたびは、会報「にじ」の300号発行おめでとうございます。四半世紀にわたり、私たち視覚障がい者のために点字の普及、点訳、音訳活動、各種行事、図書の案内、様々な情報を発信していただき、本当にありがとうございます。
 また、行事に参加した際にはペアになっていただいたボランティアさんが、きめ細やかなサポートをしてくださるので、いつも安心して楽しく参加させていただいております。この場をお借りしてボランティアの皆様方に心より感謝申し上げます。
 私がにじの会にお世話になるきっかけは、点字を教えていただくことから始まりました。40歳の時に色変と診断され、進行性で特に治療法もなくいずれ失明する病気だと言われ大変ショックを受けました。その診断をされた時は中心に視野が残っており、眩しさを除けば見ることに関してあまり不自由はありませんでしたが、備えあれば憂いなしの心境でお願いすることにしました。
 当時は、ボランティアの方が自宅まで来てくださっての学習でした。点字用紙の位置と体の向きが大事だと言うことは分かっているのですが、いつの間にか用紙や体も斜めになったり、爪の先で点を確認しようとしてつぶしたり、指先にますます力が入り、1回の学習が終わる頃には指も腕も肩も棒のようになったものでした。そして、一人だとどうしても見てしまうのでさっぱり読めませんでした。自宅の2階で1歳と3歳の孫がうるさくするからと、一時休止しました。
 視野狭窄が進み、生活にも不便を感じるようになり、平成15年に那須塩原の視力センターの生活訓練に行ったとき、点字の授業で先生から「何のために点字をやってるの?目で見ているうちは覚えられないよ。これからも見るんだったらもうやめたら?」と言われ、ようやく気づかされました。つまずいて恥ずかしい思いをしても時間がかかってもいいと居直って、目で確認しなくなってから少しずつ読めるようになったときには嬉しかったです。
 その後、保健福祉センターでまた個人レッスンを再開してくださったおかげで、読書会に参加させていただけるようにもなりました。
 あれから16年、今もサポートセンターにじに毎週通い続けています。今も指に力が入ったりなどのよくない癖がまだ直っていませんが、ここまで導いてくださったボランティアの方に感謝です。言葉の意味や漢字の勉強にもなり、休み時間のおしゃべりも楽しみの一つになっています。
 見えなくなってから読書の楽しみを知り、眠れないときは布団で腹の上で読んだり、3・11の震災の時は外出もままならず、ラジオと点字の教材が大活躍しました。現在は全盲になってしまいましたが、あきらめずにやってて本当に良かったです。
 1月から始まったサウンドテーブルテニスにも、点字学習のあと参加して汗を流したり、難聴や耳鳴りにもめげずにフラダンスにも挑戦しています。バザーでは品揃えが豊富で、安くて良い服が買えるのでデパートに行く回数も減って大助かりなので、バザーは絶対に欠かせません。小旅行はあっというまに定員になるので、参加申し込み開始当日9時になるのを待って申し込んでいます。交流会は普段会えない地域の方の声が聞けるので嬉しいです。歩くことが大好きなので、ウォーキング、今年こそはパーフェクト参加を目指したいと思います。
 いろいろなことに参加させていただくので、外出の機会も多く、毎日の生活にメリハリが出て多くの方から元気をもらってるので自分自身も元気でいられるのだと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

       にじ300号に寄せて
              郡山市 谷田川正
盲人の友より知るやにじの会
      出会いし絆永久に結びぬ
月一の人気沸騰ウォーキング
      おしゃべり弾みおなかもググッと
七色の虹の架け橋600余
      さらに増えたるスペクトルかな
       (スペクトルは虹の七色を言う)

    短歌・俳句・川柳

           柳沼友治さん(郡山市)
強東風(つよごち)や避難解除に動揺す

           谷津フク子さん(郡山市)
葉桜にひっそり犬と花見する

           山田麻理さん(福島市)
こいのぼり自然の風でエコ泳ぎ

矢島秀子さん(南相馬市)
悲しみに苦しみに耐え七回忌
春潮(はるしお)さわぎカモメとび交う

           穴沢勲さん(会津若松市)
迷い道人生迷路を抜け出せず
      あれやこれやの第2の青春

           三浦寛さん(国見町)
蔵の街白杖(しろつえ)お供に食べ歩き
      彼岸獅子との出会い愁(うれ)い

           宮崎英幸さん(福島市)
相共に支へ来たりて四月十日
      金婚式を妻と言祝ぐ

           谷田川正さん(郡山市)
花見ごろふる里三春の滝桜
      友を誘いて早朝眺む

    坂下さんの 「私のおすすめ」

『はなれ瞽女おりん』水上勉著・・・この作品は篠田正浩監督、主演女優・岩下志麻で、昭和52年に映画化されました。盲目の旅芸人である美しい女・瞽女の姿を北陸の四季の景色を背景に描かれています。凜とした静謐さに満ちた映像として表現され、極めて高い評価を得ています。
 瞽女制度の起源はなお不明なものがありますが、室町時代後期には存在したとの歴史資料が確認されているようです。盲目の女性の自活・生活手段として数人で組を作り三味線を片手に各地を巡り、仏教説話・その土地の風俗・その時々の出来事などを独特の節回しを持つ瞽女唄(ごぜうた)にして唄い語るものでした。各地には地域の人々の善意により数多くの「瞽女宿」が設けられ旅から旅への生活を支え続けたといわれています。
 そのような旅の途中で出会った老婆から「瞽女はこの世の苦労という苦労を引き受け、年中陰の地を暗い苦を背負うてひたすら旅する仏の代身のようだ」と言われて手をあわされることもありました。
 訪れた村々では農閑期の娯楽として大歓迎されていたようです。「葛(くず)の葉、子別れの段」を語るときには、片手に幼子を抱きしめ片手で夫の腕にすがり、農家の若妻たちは身悶えし号泣したと言われています。
 これらの瞽女の中には美しい娘もいました。先々ではそれらの娘に心を寄せる若者も当然存在しました。しかし瞽女集団・瞽女屋敷の中では男の出入りは絶対の法度でした。社会的に弱い立場で生きてゆかなければならない盲目の女たち、日々身を寄せ合いぎりぎりの生活を送る中に男の影がさせば集団生活は乱れ、崩壊して行くことは必定です。その絶対の禁を犯したものは例外なく瞽女屋敷・瞽女集団から追放され、「はなれ瞽女」と呼ばれるようになります。
 この作品は明治期から大正期を時代背景とした物語です。幼い日に光を失ったおりんは6歳の時に母親を失い、越後は高田の瞽女屋敷の親方であるテルヨのもとに引き取られ、瞽女としての三味線と歌を教えられます。屋敷には、数人の瞽女が一緒に住んでいました。男っ気は全くありません。まもなくおりんは朋輩と共に、門付けの旅に出ます。豪雪の中わらじに足袋をはいて歩きますが、足を傷めます。その後厳冬期といえどもおりんは足袋をはかなくなります。
 17歳、初潮を迎えたおりんは、親方のテルヨから厳しく男を戒められます。美しい娘となった20歳。「口説き節」などを披露するときなどにはどうしても男たちの粘っこい視線が絡み付きます。そのような席を勤めた後のことでした。瞽女たちが眠る部屋にひとりの男が忍んできます。おりん破戒の瞬間でした。このときから破門されたおりんは「はなれ瞽女」となります。物乞い同然の門付けか、あるいは形を変えた売春か、それがおりんの生活手段となって行きました。
 そのような中、流れ職人の岩淵平太郎と巡りあいます。平太郎は、決して体を求めることなく自らを「兄さん」と呼ばせます。薄幸なおりんに僅かに訪れた幸せな時間でした。その束の間の生活の中、平太郎はおりんを巡って、心ならずも人を殺め警察に追われる身となります。おりんに累が及ぶことを恐れ、二人は離れ離れとなります。この時おりんの上に幽かに訪れた幸せは奪いさられてしまいます。あまりに辛く悲しい物語です。(点訳・音訳あり)

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


〒960-8074
福島市西中央2丁目23-1
TEL:024-529-7021
FAX:024-529-7031

訪問者数