にじ389号

点字習得のサポートをします にじの会の活動紹介

にじの会では中途視覚障害の方が点字を習得するためのサポート活動をしています。
点字は視覚障害の方が自分で自由に読み書きできる唯一の文字です。読書や学習に役立つことはもちろんですが、街中の点字や家電製品などに付いている点字、家に届く封筒の点字を触って確認できたり、日常のちょっとしたメモを書いたりするだけでも、毎日の生活が便利になります。
点字の習得には時間が掛かりますが、自分のペースに合わせて週に1度ボランティアと共にゆっくり学ぶことができます。現在はLサイズの読みやすい点字から学習を始めますので、高齢になってから始めても生活に役立つ点字が十分に読めるようになります。
ルイ・ブライユが点字を考案してから2025年で200年になります。これからも点字を読む仲間が増えることを願って活動しています。
にじの会では1998年から活動を開始して、これまでに50名以上の方が点字を習得されました。にじの会で点字を習得された7人の方に、点字の活かし方や現在読んでいる本などを紹介していただきました。
Aさん 60歳代後半から点字学習を始めました。今は「窓ぎわのトットちゃん」を読んでいます。自分の子どもの頃を思い出し、楽しんで読んでいます。
Bさん 50歳代半ばから点字を学習しました。読書は音訳ですることが多いのですが、いつも傍に置いて読みたい本(短歌集やエッセイなど)は点訳してもらって読んでいます。
Cさん 50歳代で点字学習を始めました。ちょうど「吉里吉里人」(全20巻)を読破したところです!点字で読書ができる楽しみを満喫しています。
Dさん 50歳代半ばから点字の学習をはじめました。短歌を詠んでいて、自分の短歌を書き留めたくて点字を覚えました。最近は「東北(みちのく)詩歌集」を読みました。
Eさん 40歳代から点字学習を始めました。現在は点字学習の時間に、「青鬼調査クラブ」を読んでいます。
Fさん 50歳代で点字学習を始めました。読書は音声デイジーで聞いていますが、盲ろう者友の会で指点字やブリスタ(1行のタイプライター)の活動をして役立っています。
Gさん 50歳代初めの頃から点字学習を始めました。読書は音訳と点訳、両方で楽しんでいます。現在、点訳書の「アサギをよぶ声」のシリーズにはまっています。

最近のニュースから
最近の気になるニュースを2件、朝日新聞デジタル版とNTT東日本のネットリリースから抜粋して、お知らせします。(文体を合わせました)
●横断歩道の白線同士の間隔を現在の2倍の90センチまで広げられるように改正しました。設置・維持費用の削減などが目的です。警察庁は当初、全ての横断歩道を対象にする方針でしたが、視覚障害者の安全を図るため、始めるのは音響信号機や専用点字ブロック(エスコートゾーン)が設置されている場所に限ることにしました。パブリックコメントで、「白線の間隔を広げると、塗料の凹凸を足で感じている視覚障害者や視力の弱い人が横断歩道を認識しづらくなる」との意見があったことを踏まえたとのことです。
また、生活道路では法定速度が30キロになります(2026年9月から)。今回の改正は、住民が徒歩や自転車で利用したり近くに学校があったりする生活道路の安全を確保するのが目的です。標識などで最高速度を示す「指定速度」がかかっていない場所が多く、現在は60キロで走ることができます。改正では、中央線や中央分離帯、中央のポールなどがない道路の法定速度を30キロとします。警察庁によると、法定速度30キロになる対象の多くは幅5.5メートル未満の道ということです。
●NTTでは、電話番号を調べる手段として、電話帳(タウンページ等)および番号案内(104番)を提供してきました。近年はスマートフォンの普及等に伴い電話番号検索方法が多様化したことで、タウンページへの広告掲載数が減少するとともに、番号案内の利用数も大幅に減少しています。このような状況を踏まえ、紙資源消費を削減し、環境負荷の低減を実現する観点からも2026年3月末をもって電話帳および番号案内の提供を終了します。なお、目の不自由な方々に、暮らしの役にたてていただくことを目的として発行している「点字電話帳」は継続して提供します。また、障がいのある方を対象に無料で電話番号を案内する「ふれあい案内」についても提供を継続します。番号案内(104番)終了後のふれあい案内は、案内の時間帯を見直す予定であり、具体的な利用方法等については、ふれあい案内を登録している方へ別途ご案内します。
ふれあい案内は視覚障害1級~6級の身障手帳をお持ちの方が利用できます。登録申込み電話番号は、全国共通フリーダイヤル0120-104174です。

短歌・俳句・川柳

薄井セツ子さん(福島市)
八十路坂登る姿は千鳥足

菅野勝仁さん(田村市)
海水も猛暑続きで巨大風呂

矢島秀子さん(南相馬市)
猛暑日は塩分控えめ投げ捨てて
梅干し麦茶に命をたくす

穴澤勲さん(会津若松市)
朝起きて鳥の鳴き声チュッチュッと
熊といのしし出没注意

小板橋順二さん(猪苗代町)
パラ五輪積みし努力の晴れ舞台
競技楽しみ日の丸目指せ

三浦寛さん(国見町)
種蒔いたきれいなお花芽が出ない
蒔かぬ雑草花壇を占領

清野隆一さん(郡山市)
とうきびを盆に重ねて墓参り
一月遅れ残夏の香り

おしらせ
●10月11日(金)の小旅行の申し込みは9月2日午前9時から、電話のみでの受け付けですので、ご注意ください。

今月のイチオシ!図書

福島を舞台にした、福島生まれの人にフォーカスを当てた、福島に関わる本の第4回です。すべてサピエに点訳・音訳が登録されています。

『人民は弱し官吏は強し』星新一著:いわき市出身の実業家である父・星一(ほしはじめ)の伝記。明治末、12年間の米国留学から帰った星一は製薬会社を興した。日本で初めてモルヒネの精製に成功するなど事業は飛躍的に発展したが、星の自由な物の考え方は、保身第一の官僚たちの反感を買った。陰湿な政争に巻きこまれ、官憲の執拗きわまる妨害をうけ、会社はしだいに窮地に追いこまれる。最後まで屈服することなく腐敗した官僚組織と闘い続けた父の姿を愛情をこめて描く。
『慶長・元和大津波奥州相馬戦記』近衛龍春著:奥州統一を狙う伊達政宗の野望を阻んだ相馬義胤と、改易か転封は必至と思われた相馬を徳川との外交交渉で救った義胤の子・利胤。2度の大津波の被害からも立ち直った平将門以来の名門・相馬家の奇跡の物語。
『貧しき人々の群』宮本百合子著:安積開拓の中心開成山を舞台とした農村を描いた小説。作者の深い人道主義と自然と人間への若々しく新鮮な感情のもとに劇的な緊張と構成をもって繰り広げられる、百合子17歳の処女作。
『智恵子抄 詩集』高村光太郎著:「いやなんです/あなたのいつてしまふのが――/花よりさきに実のなるやうな/種子よりさきに芽の出るやうな……」(「人に」)。明治の末年、グロキシニアの鉢植をもってアトリエを訪れた智恵子嬢を「人類の泉」と讃えた恋愛時代から、「東京に空が無い」と語り合った幸福な結婚生活を経て、夫人の発病、そして昭和13年10月の永別。しかも死後なお募る思いを「智恵子の裸形を残して、わたくしは天然の素中(そちゅう)に帰ろう」と歌い、昭和31年4月の雪の夜に逝った詩人の、全生涯を貫く稀有な愛の詩集である。
『大世紀末サーカス』安岡章太郎著:幕末維新に、飯野町生まれの高野(たかの)広八(ひろはち)ら18人の曲芸師は米欧各地を巡業した。米国大統領の謁見、満員のパリ万博公演、女王も見物に来たロンドン…。広八が残した日記をもとに、動乱期の世相と風俗を鮮やかに描いた曲芸師一座の痛快行状記。
『鋼の綻び』相場英雄著:及川首相が出席する東京証券取引所の大納会で、日本を代表する企業の株価が一斉に原因不明の大暴落を始めた。警察庁出身の首相秘書官・桐野は何者かによる経済テロと断定。元部下の警視庁刑事・土田とともに動き出す。浮かび上がった犯人は原発事故の被災地・福島県と接点があった。大暴落が刻々と進む中、犯行とフクシマの関連が濃くなってゆく。
『幕末銃姫伝 京の風会津の花』藤本ひとみ著:戊辰戦争末期、自ら銃を取り大砲を指揮して戦った女性がいた――激動の幕末を生き抜き、自らの手で未来を切り拓いた山本八重の前半生を描く歴史長篇。
『「首の女」殺人事件』内田康夫著:真杉光子は姉の小学校の同窓生宮田と出かけた光太郎・智恵子展で、木彫の「蝉」を見つめていた男が福島で殺されたことを知る。そして宮田も島根で変死。奔走する浅見光彦!

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


〒960-8074
福島市西中央2丁目23-1
TEL:024-529-7021
FAX:024-529-7031

訪問者数